【営業の極意は損得の先にある!】世界的企業の大経営者に学んだ話

クライアントさんに教えてもらったシリーズ

僕は営業時代、自分を蹴りたくなるくらい、
悔しい思いをしたことがあります。

未だに忘れられませんが、
その時に僕に言ってくれた大経営者の方の
言葉の真意が今ではわかります。

“営業の極意は損得の先にある”

こんなことを教えてくれたのですが、
少し、読みにくいかもしれませんが、
お付き合いいただければと思います。

どうぞお付き合いくださいませ。

大経営者にいきなり怒られることになる

僕が住宅で営業をしていた頃のお話です。

その日は現場見学会という、
お客様の建てた家を近くの方に
見てもらうというイベントをしていました。

そんな中、雰囲気の良いというか、
育ちが明らかに良さそうな男性の方が、
来場され、僕が担当になりました。

聞けば、自分は家を建てるわけではないが、
お父様がお家を考えているので、
参考までに見に来たとのこと。

意気投合し、その方から、

「倉地さん、すごく感じのいい方だから、
父に会ってきてほしい。」

こんなことを言われました。

現場見学会の会場からすぐ近くに
お父様のお家があったんですね。

息子さんがお父様に電話を入れてくれて、
その足で、僕は一人で
お父様のお家に向かいました。

そのお家を建て替える計画をお父様は
されているということで、
建築予定地を見がてら、
ご挨拶に伺ったわけですね。

歩いて10分くらいのところに、
お父様のお家はあったのですが、
これがびっくりするほどの大豪邸で、

「この方は一体何者なの?」

とピンポンを押すのも
ためらわれるくらいの
雰囲気のお家でした。

僕は恐る恐るインターホンを押します。

僕「○○ハウスの倉地と言います。」

インターホン越しの方「あー、倉地さんね、息子から聞いてるわ。」

どうやらお母様だったようです。

その後、僕は応接間に通していただき、
お母様と数10分ほど話しました。

どうやら、お父様は外出されていて、
今日は戻ってこないかもしれないということで、
僕はお母様にこんな提案をします。

僕「あのー、せっかくお家に
上げていただきましたので、
建築予定地のこのお家の現況を
ちょっと見させていただいてもよろしいでしょうか?
お庭とか、家の周りを
ウロウロするだけですので。」

お母様「別に構いませんよ。終わったら、
また、声をかけてくださいね。」

優しい言葉をいただき、僕は、
お父様のお家の周りの状況を把握するため、
写真に撮ったり、メモをしたりして、
1時間くらいした後、その家を後にしました。

会社にお父様からクレームの電話が入る

現場見学会を終えて、
事務所に帰ったのですが、
ここで上司に呼ばれます。

その上司とは僕が大尊敬する、
天狗さんです。

天狗さんとのエピソードはこちらに書いています。

天狗さん
おい、倉地、○○会社の相談役の方から、
倉地を名指してクレームが入っているぞ。
え?なんですか?
天狗さん
今日、鈴木さんのお家に行っただろう?
いきましたけど、それが何かまずかったですか?
天狗さん
鈴木さんが言うには、自分の留守中に、
家の周りを写真を撮ったり、メモをしたり、
ウロウロしたりして帰ったと、
どういう無礼な奴だとご立腹だ。
え?でも息子さんに頼まれて、
お母様の許可も得て行いましたけど・・・。
天狗さん
とにかくこれから、二人で、
鈴木さんのところに出向こう。
は、はあ、わかりました。

鈴木さん(仮名)は、
地元では有名な会社の創業者の方で、
小さな会社を世界的な企業にした、
大経営者の方でした。

僕はそんなことはつゆ知らず、
鈴木さんのお家の現況を見てきたのですが、
この時はまだ、なぜ鈴木さんが、
僕に対して怒っていらっしゃるのかが、
全く理解できませんでした。

応接間でとにかく怒られ続ける

天狗さんと僕は、鈴木さんの家に着くと、
応接間に通されます。

もうこの時点で鈴木さんはカンカンです。

鈴木さん
おたくの営業マンは、
留守の家に勝手に上がりこんで、
いろいろと調べていくのかね?
一体どういう教育をされてんだね。
天狗さん
これはこれは鈴木様、
不快に思われたのならお詫びします。
鈴木さん
息子からは連絡をもらっていたけど、
私がいないなら、挨拶だけして
すぐ帰るのが普通だろう。
それなのに、家に上がり込んだことはまだしも、
私の家をいろいろと調べていくとはどういう了見だ。
天狗さん
大変失礼いたしました。
ただ、倉地が行ったことは、
僕が教えていることでして、
建て替えのお家に伺ったら、
その現況を調べて
帰ってくるように指導しています。
鈴木さん
それはどういうことかね?
天狗さん
はい。お家作りは、人作りです。
ですので、まずはお客様を知ること。
建築予定地を初期の段階から、
把握すること。このことを部下には徹底させております。
ただ、そのことが鈴木さんを
不快にさせてしまったのならすみません。
鈴木さん
なるほど。人作りか。
それより倉地くんって言ったね?
君もそれを思って、私の家を調べたのかね?
あ、いや、なるべく早く
現地を把握しておいた方が、
提案の質も上がりますし、
その方が、結果的に良い家が建つと思いまして・・・。

この僕の言葉が鈴木さんの逆鱗に触れます。

鈴木さん
天狗さんよ、あなたの思いとは裏腹に、
倉地くんは別の意図があって、
動いていたみたいだよ。
私の予感は間違っていなかったな。
そんな思いを持った営業に自分の家を
いろいろと調べられた私の気持ちにもなってくれ。
天狗さん
これは失礼いたしました。
ただ、鈴木様、倉地は確かに計算高いというか、
先回りして思考するタイプの営業マンですが、
それだけではありません。
とても熱いものを持った男です。
そこの部分をどうか
見てやってくれないでしょうか?
鈴木さん
天狗さん、本当か?
僕には倉地くんにそんな熱いものがあるには
とても思えないんだが。
よしわかった。見てやろう。
○○ハウスさんとは義理もある、
その熱いものというものを見せてくれ。

こうして僕は鈴木さんの家を
提案させてもらうことになりました。

後にも先にも、これほどまでに、
提案したくないと
思ったお客様はいません。

住宅営業の場合、まず、良い印象を持ってもらわないと、
普通は提案までいかないのです。

でも、今回はすでにクレームになっていて、
鈴木さんは僕のことを信頼していません。

この状態で住宅を提案するのか・・・。

この時点でもう、胃が痛くなりました。

鈴木さん
提案は倉地くんだけじゃなく、
天狗さんと一緒に頼むよ。
天狗さん
もちろん、そうさせていただきます。

こうして、鈴木さんの住宅の提案が始まりました。

ほぼイジメ状態になった打ち合わせの場

鈴木さんの場合、お家の規模が規模ですから、
天狗さんも僕と一緒に提案を考えます。

天狗さんは伝説の営業マンで、
僕が尊敬してやまない人です。

提案レベルが半端なく高く、
これを担当営業として、
鈴木さんに代弁するのか・・・。

もう吐きそうになりました。

そしていよいよ、提案の日を迎え、
前回のように、天狗さんと僕は、
応接間に通されます。

ガッチガチに緊張しながら、僕は、
鈴木さんに設計図を説明します。

ここに玄関の位置を持ってきたのは、
日当たりを確保するためでして、
家相的にもメリットがあります。
リビングとダイニングを独立させないことで、
無駄がでないこと、そしてなにより、
空間を有効的に使えます。

天狗さんと一緒に考えた間取りは素晴らしく、
僕はこの家に住むことに
いかにメリットがあるかということを
訴求していきます。

ただ、鈴木さんの反応が
あまりよろしくありません。

鈴木さん
全然面白くないね。天狗さんさあ、
倉地くんは営業としては二流だね。
天狗さんが熱いところがあるって言ったから、
提案を聞いてみようと思ったけど、
全くそんなことを感じないよ。
天狗さんには感じるけどね。
天狗さん
鈴木様、すみません。
倉地もまだ勉強中でございます。
もう少し辛抱してもらえますか?
鈴木さん
天狗さんがそこまで言うなら、
次回の提案を聞いてもいいけど、
倉地くんからとても建てる気にはなれないよ。

何かの拷問かと思いました。

その日の帰り道、天狗さんは僕に、

天狗さん
鈴木さんの信頼を勝ち取れるかが、
営業として試されているとこやで。頑張り。

こう言いましたが、正直、

「担当を変えてくれー!」

と心の底から思っていましたね。

あろうことか約束を忘れてしまう

僕自身がやりたくないなと
思っているからですかね。

僕は今までしたことがないミスを犯します。

なんと、鈴木さんとの打ち合わせの日と
1日間違えてしまったのです。

打ち合わせは明日だと思い込んでいた僕に、
電話が入ります。

鈴木さん
もしもし、今日の2時からって聞いてたけど、
君たちはいつ来るのかね?

血の気が引きました。

え?今日でしたか?今すぐ伺います。
鈴木さん
もう来なくていい。

すぐに天狗さんに報告すると、
これから、鈴木さんのお家に
向かうことが決まりました。

天狗さんがいるので、鈴木さんは、
僕たちをお家に入れてくれます。

鈴木さん
天狗さんさあ、倉地くんの
いいところが一つも見つからないんだけど。
もう、いい加減にしてくれるかなあ。
天狗さん
アポイントの日を間違えたことは、
本当にお詫びします。
鈴木さん
天狗さんは倉地くんに足りないところは、
実はわかってるんじゃないの?
天狗さん
これでも倉地は優秀でして、
良いところはあると思っております。
鈴木様ほどの厳しい視点を持った方は、
なかなかいらっしゃらなくて、
おのお眼鏡にかなわなかったことは
倉地の力不足です。
鈴木さん
天狗さんが倉地くんには、
熱いところがあるって言ったから
付き合ったけど、こんな二流の営業じゃあ、
私も時間がもったいないんだよ。

二流、二流、二流・・・

何度もこの言葉を言われ、
僕の中の何かが壊れます。

あのー、失礼ですけど、
なんでそこまで
言われなけばいけないのですか?
天狗さん
バカ。倉地、やめろ!
なぜ僕が二流なんですか?
鈴木さん
よし。教えてやろう。
私の家をウロウロした時に、
その理由を聞いたら天狗さんは、
人作りのためと言った。
君はなんのためにしたのかね?
事前に調べたほうがきめ細やかな
提案ができると思ったんですよ!
鈴木さん
違うでしょ。早く現地を調べておけば、
他のメーカーを出し抜けると思ったんでしょうよ。
そ、それは・・・。
鈴木さん
君は人のことなんて考えちゃいない。
全て自分の損得でものを判断している。
それは違う!
鈴木さん
あと、君はなんのために営業をやっているの?
それは将来、経営者になりたくて、
そのための修行として・・・。
鈴木さん
やっぱりそうか。だから住宅を売ることに
情熱がないんだよ。そんなのはプロじゃない。
だから二流だというんだよ。
情熱を感じないね、君からは。
それに比べて天狗さんは営業のプロだよ。
天狗さん
鈴木様、それは僕を買いかぶりすぎです。
僕は3流でいいと思ってますから。
鈴木さん
おー、すごい!
3流でいいと思っていること自体に、
情熱だったり、熱さを感じる。
僕はその部分で家を買いたいんだよ。
天狗さん
倉地、いいことを教えてもらったな。
お前に足りないところを
教えてくれる人なんておらへんで。

もう、なんか悔しくて悔しくて、
とめどなく涙が溢れて、
そのタイミングで、
お母様がすっと、
ハンカチとかくれて、
もう、どうしようかと思いました。

「なんて惨めなんだろう・・・。」

このレベルの方は契約できない。
今の僕のままでは。

おそらく天狗さんなら契約になっていた・・・。

ただ、あまりに僕が泣くので、
鈴木さんも言い過ぎたと思ったのでしょう、

「いや、私も昔、倉地くんと同じだったから。
同じようなことをある人に
言われて今があるんだよ。
いい上司に恵まれてるじゃないか、頑張りなさい。 」

こうして長い鈴木さんとの折衝は終わりました。

そのあと、僕は仕事に戻る気力もなくなり・・・、
漫画喫茶に立ち寄ります。

その時にちょっとしたシンクロが起こります。

麻雀漫画の

天~天和通りの快男児

という漫画を何気なく読んでいたら、
主人公のアカギが、
天才アカギのようになれないナイーブな男に、
こう言っていたのです。

“いいじゃないか三流で
熱い三流なら上等よ!”

まさに鈴木さんが僕に
言いたかったことではないかと思います。

「自分も熱い三流だったら、
世界的な企業にできたんだよ。」

鈴木さんからそんなことを
言われたような気がしました。

こんな状態にでもならなければ、
もしかしたら僕は
大切なことに一生、
気づけなかったかもしれません。

まとめ

情熱、熱さ、人を感動させるもの、
それを原動力にしている人は、
多くの人を感動させることができます。

そのことをホワイトエンジンと呼び、
昔の僕を突き動かしていたものは、
その逆にブラックエンジンだったこと、
今でははっきりとわかります。

そして若造の僕は初見で、
それを見抜かれてしまった。

でも今思えば、わざわざそんなことを
言ってれる必要はないのに、とか
思うのですが、それが鈴木さんの
優しさだったんですね。

その後、天狗さんがこのエピソードを
周りに話すようになって、
ちょっと売れて調子こいていた僕は、
完全に牙を折られ、大人しくなりました(笑)

そして今ではこのエッセンスを人に伝えたりして、
そんなことも僕の仕事の一部になっています。

鈴木さん、そして天狗さんには、
感謝しかありません。

ということで、僕のかっこ悪いエピソードでしたが、
参考にしていただければ幸いです。

最後まで、お読みいただき、
ありがとうございました。