仕事ができる人が自分の近くにいた時、
自分も、

とその人のスキルを自分のものにしたいと
思ったことはないでしょうか?

そして本当に人のスキルをひょいひょい、
自分のものにできる人がいるのも事実です。
人のスキルを自分のものに
簡単に吸収できる人はどんなことを
行っているのか?
僕が実際に会った人を例に、
これから数回に分けて書いてみようと思います。
人の能力を吸収するのが恐ろしくうまかったカメレオン豊田君
僕が新卒で入った会社は、
都内の新築マンションを販売する
不動産営業の仕事でしたが、
その時の同期入社した豊田君という人がいました。
新人研修の資金計画の計算をやらしたら、
ダントツで理解度トップ、
営業トークのロープレも、

と思うほどのうまさで、
誰もが、

とうなずくほど、優秀な奴で、
僕としてはあまりのクレバーっぷりに、
やきもちしかありませんでした。
研修を終え、モデルルームに新人が配属となり、
いよいよ僕たちの営業がスタートしたわけですが、
僕と豊田君は物件が分かれてしまい、
豊田君とは数ヶ月に一回の
営業会議のときくらいしか、
会う機会がなくなってしまいました。
1ヶ月後、僕は運が良いことに、
たまたま物件が3件ほど売れてしまい、
1ヶ月目は新人の中ではトップになったのですが、
2ヶ月目には豊田君が頭角を現し始め、
僕の成績と並び、
3ヶ月後には、
彼に僕の成績をぶち抜いていき、
当初みんなが予想していた通り、
豊田くんがトップに躍り出ました。

やはり優秀でやがるぜ。
なんて歯ぎしりをしていたわけなんですが、
4ヶ月後の営業会議があり、
僕たちは久しぶりの再会を果たします。

そんなことをたくらみながら出た営業会議、
豊田君を見た瞬間、
僕が聞きたかったことを忘れるほどの
変貌を遂げていたことに驚きました。
それは、豊田君の外観が、
新人の研修の時のそれとは全く違い、
ピシッとした明らかな高級なスーツで
まとめられていたことです。

ただ、高級なスーツに身をまとっているだけでは、
それだけの驚きはありません。
なんと豊田君、トップセールスの加藤さんの
スーツや靴、時計、鞄に至るまで、
全く同じに決めているではありませんか!
トップセールスの加藤さんは、
豊田君と同じモデルルームで働いていますので、
営業会議にも、二人で並んで現れました。
同じ格好で歩く二人は、
もはや、お笑い芸人の銀シャリみたいです。



同じ格好をさせてもらっているんだよ。




そんな感じで、豊田君と僕は、
営業会議の後、お酒を飲むことになりました。
何もわかっていなかった独りよがりの自分
営業会議の後、近くの居酒屋で、
豊田君と待ち合わせた僕は、
お酒を頼むのも忘れ、
豊田君にこう聞きます。


同じ格好してるんだよ!
加藤さんにやれって言われたのかよ!

好きでやってんだよ。


学びたいからこうしてるの。

別に同じ格好しなくてもいいじゃないかよ!


成績だって今月は抜かれたけど、
トータルで俺の方が売れてるじゃねーか!



お前はもうつかんだのかよ?

この豊田君、良い奴なのですが、
ちょくちょくムカつく奴でして、
もう序盤から僕はムカムカ、
イラつきしか感じませんでした。
ただ、豊田君からは3ヶ月で
明らかな変化を感じられますし、
僕ときたら運もあって、
たまたま売れている感が満載だったので、
ここは少し大人になって、
豊田君に思い切って、
身につけたという“営業のコツ”なるものを
聞いてみることにしました。

わかったって言ったけど、
どうやって身につけたんだよ。


冷たい上司だって聞いたけど、
あの加藤さんがお前に教えた?ほんとかよ!?

加藤さんがさ、
“俺は鉛筆一本でも100万円で売ってくる自信がある”
って言っててさ、かっけー!って思って、
その時から俺は加藤さんから、
営業のスキルを盗もうと決めたね。

営業スキルを盗んだんだよ!

加藤さんのように売れないわけだろ?

加藤さんとは違うだろ!

加藤さんに近づけると思ってさ。

お前思ってたより単純な奴だな。

お前の上司から営業スキルが盗めてるって言えんの?

常に観察して上司の良いところを
盗もうとしてるさ。



良いとこ取りじゃーな。


上司からいいところ盗んでるんだろ?
ということはお前のフィルターを通してでしか、
その上司から盗めないってことじゃねーか?


加藤さんになりきって加藤さんのフィルターで
加藤さんから盗めれば、
自分のフィルターは入らない。


思ってるから自分を超えられないんだよ。

いちいちむかつく豊田君でしたが、
言っていることはまともというか、
彼の方がどう考えても、
営業スキルが上がっていたように
思えたこともあり、妙に納得してしまう自分がいました。

続けるの?

吸収するまでだな。もう充分だな、と思ったら辞める。


自分の時計や靴まで真似てくれる後輩に
悪い気はしない。だから、
毎日、マンツーマンで夜遅くまで、
営業指導をしてくれているぜ。
ま、まじか・・・、
それでは僕とスキルの差が生まれるわけだ・・・。
人を完璧に真似ると、
人にも可愛がられるのか・・・。

いいところ取りするとは違うんだせ。
まずはその人になりきって、
自分のフィルターを通さず全て吸収する。
そのあとオリジナルを加えて昇華させる。
そうすれば人はどこまでだって成長できる。

もはや同期だと思えないほど、
豊田君が格好よく見えました。
ただ、実はその後、豊田君とは僕は
会う機会はありませんでした。
僕は次の月に、
大手住宅メーカーに転職。
僕の送別会にも豊田君は仕事で
来れなかったためです。
でも噂で聞いた話では、
僕がその会社を辞めて1年後、
彼は大手の不動産会社に転職を果たし、
その会社で最短で部長職に就くほど、
出世していったそうです。
大手の住宅メーカーに転職後、真似ぶことを実践する機会が・・・
その会社を退職し、
大手の住宅メーカーの営業職に
転職した僕は、
悩んでいました。

はたから見たら、新卒4ヶ月で、
大手住宅メーカーに栄転したように
見えたようですが、内心は、
営業のコツをつかんだわけでも、
特別なスキルを身につけたわけでもなく、
ただただ、運だけで
会社が変わったようなものでした。
研修を終え、ハウジングセンターの
モデルハウスに配属になった僕でしたが、
その時に僕は専属の先輩を一人、
店長からつけられました。
その先輩とは、東大出身のベテラン営業マンで、
一時は店長も務めたこともある方。
僕の教育係り役を言われたのでしょう。
ただ、この先輩がちょっとかわいそうな方で、
実は3ヶ月後にはもう退職が決まっている方でした。
要するに僕が入る代わりに、
その方が出ていくという構図です。
そして、残りの3ヶ月は、
「あなたの代わりに入ってくる新人(僕)を
教育してから辞めるように。」
と言われているという、
ドラマのような屈辱的な役割を
言わば、押し付けられている
難しい立場の先輩から
僕は教育を受けることになります。
ただこのような状況なので、
その先輩が僕に好意的なわけがありません。

いいよな新人は、希望で溢れていて。
俺なんかお前の代わりに会社を辞めるんだ。
会社も嫌がらせだよな。
すでにあからさまに、僕の面倒など、
とても見たくないというオーラ全開です。

そして周りからもいろいろと鈴木先輩の噂を耳にします。
・東大卒で頭は良いがとにかく頑固者だということ
・頭が少し硬いところがあり
今の時代の流れについていけず、
昔は売れていたのに
今ではまったく売れなくなってしまったこと
・店長時代も下の人間を教えるのが苦手で
下からはあまり好かれていなかったこと

そんなことを感じざるを得ませんでした。
ただこの時、僕はなぜか閃きます。

この人から真似ぶべき時なんじゃないのか!
僕の中に豊田が舞い降りてきたというか、
自分がやるべきことが
はっきりとわかったというか、
今までの自分とは違う頭が切りかわった感覚でした。
仏頂面の鈴木先輩に恐る恐る話しかけます。

噂でお聞きしております。
おこがましいのですが、その鈴木さんがお持ちの
スキルを僕に伝授いただけないでしょうか?
これが僕の初めての “真似ぶ” という経験にスタートでした。

するとどうなったか?
ちょっと長くなりましたので、
続きは次回のブログで書いていこうと思います。
頑固者の鈴木先輩が僕に与えてくれた大事なもの、
それは僕の後の営業人生で、
何度もの助けてくれたかけがえのない宝物になります。
続きを楽しみにしていてくださいね。
続きはこちら(準備中)